教育学者太田堯先生のメッセージ

保育に携われる、ここにお集まりの多数の皆さま、私「大田堯」と申します。

皆さんのお仕事は非常に大事な、お仕事であると言うふうに私は考えています。

物、金の支配する世知辛い世の中にあって、生の人間と人間とが付き合って行く、とりわけ可能性を持たれた若い保育者の方、その相手である、さらに若い、さらに大きな可能性を持った子どもさんたちと付き合いを持たれて、そこからお仕事を展開されると言う事は非常に大事な事であり、有意義なものであると思います。

世間全般が、そういうふうに考えてくれているとは思いませんけれど、私のように人間教育の問題を考えている者にとっては、いわば「人間が人間になる基礎になる部分」を担当されると言うことで、ございますので、こんな、とてつもない仕事に携わってくださっていると言う事、これに対して心から敬意を表すると共に感謝申しあげたいと思う次第でございます。

実はちょっとした、私の何と言いますか、この希望と申しますか、お願いと申しますか、申し上げますと言うと、

今、学校教育と言うものがありまして、教育界に広がっているわけですが、どうぞお願いしたい事は「学校の真似をしないと言う事」だと私は思います。

間違っても点数や順番で人間を考えると言う事ではなくて「一人ひとりのユニークな魂をもった、しかも大きな可能性を持った子どもさんたちと毎日付き合って行き、喜怒哀楽を共にする」と言う、そういうチャンスをお持ちの皆さま方のお仕事と言うものはどんなに高く評価しても評価すぎることは無いと言うふうに私は考えている次第であります。

皆さんのなさる仕事は学校の勉強とは違って、いわゆる「遊び」と言われるものであります。

「遊び」と言うと世間はなんだか余計なものと考えるようですけれど、とんでもないです。「遊び」と言うものをとおして生の自然の本物に触れ、触れ合って確かめ合う、そして仲間と仲間とが付き合いを作って行く、こうゆう事が「遊び」でありまして、此処が疎かにされていると言う事は「人間が人間になる根っこと言うものを、これを疎かにする」と言う事だと私は考えおります。

「一人ひとりが皆んなユニークな可能性を持っておる」そうゆう事を考えて、人格を持った一人ひとりを大事にお取り扱い頂いて、あるいは関わりをお持ち頂いて、このお仕事の達成にご尽力下さる事を心からお願いする次第でございます。

以上でございます。ありがとうございました。

「全国保育実践交流会資料より」